北海道サマータイムは正気か?

http://www.sapporo-cci.or.jp/summer/

札幌商工会議所がプッシュしている北海道サマータイム。不思議なことに非常に重要なことを峻別せずにふわふわと議論がなされている。

ネット方面は騒がしいが巷ではあんまり聞かないでいたが、私の働いている放送局の某番組で「サマータイムマンセー」な特集をやってしまったんもんでちょっと書きたい。

「非常に重要なこと」とはサマータイムで変わるのは「時計」か「始業時間」かということだ。

サマータイム擁護者は「OECD加盟国30カ国中27カ国でサマータイムが実施されている」としているが、日本はヨーロッパと比べるとかなり南にあるので*1、日本全土でサマータイムをやる意義はほとんどない。

札幌は製造業の比率が多くない「サービス業都市」で、東京と密接に結びついている。ここで「北海道ローカルタイム」を導入したとしても、実際の企業には「JST」と「北海道ローカルタイム」の二つの時計が並ぶだけのことだ。その上時刻を聞くたびにそれが「JSTなのかローカルタイムなのか」確認しないといけないことになる。

また、サマータイムで時刻に変更が生じる場合、電波時計以外の時計は合わせなおさなくてはいけなくなるし、サマータイムに入った直後の数日は「時計自体が信用できない」事態が生じる。経済性の試算では、この時刻が変化することの経済に与える悪影響についてほとんど触れていない。*2

「始業時間」を変更するだけなら簡単だ。
現在の「北海道サマータイム」の実験でもほとんどの企業は時計の変更までは行っていないし、北海道の小学校は夏と冬で始業時刻が違っていたらしい。

サマータイムが本当にハッピーか?」というのは、こんな実験をするまでも無く、フレックスタイム制の会社で「夏になると社員が冬より何分早く来るか」の統計を取れば分かることだろう。

早朝勤務の仕事をしている身からすると、夕方が暗いのはともかく、起床時にまだ真っ暗なのはすごくストレスになります。日本でサマータイムをやると、自殺者が増えるのじゃないかとちと不安。

*1:札幌とベルリンが同緯度。ヨーロッパの夏はわれわれの感覚よりずっと長い

*2:まあ、「経済需要が拡大」するわけなので「経済効果」に参入できないこともないだろう。…嫌味ですが。