放送用音声機器が+4dBm出力である理由

放送用音声機材にはLine出力として普通0又は+4dBmと-20dBmの出力を持っている。
*1
基準が0デシベルというのはまあ当然だけど,+4dBはどう見えもあんまり切りのいい数ではないのだ。

結構不思議に思っていたのだが、どうやら原因はVU計にあるらしい。

VU計というのはアメリカ及び日本で使われている*2機材で、聴感に近いレベルの変化を見ることのできる(ことになっている)メータでオリジナルは600オームの回路に入れる終端型の受動計器だったらしい。

このレベルが決められた当時、アンプのSNは低く、なるべくアンプの数を減らすため、ミキサーはHA出力をアッテネータでレベル調整するつくりになっていた。

また、当時は良い電流計が作れず、電流計の針が重たかったため、VU計は最大頑張っても+4dBm程度の入力がないと動作させられなかったということだ。

現在は民生機器に合わせて放送機材の出力も-20dBmで使うことが増えてきているし、入出力のオスメス、信号レベルなどがいろいろなところでばらばらなため製造コストが大きかったのをすべて共通にしてしまう(つまりは出力はヨーロッパ標準の0dBmということ)が進んでいるので、今後は+4dBmの機材は減っていくのだろう。

*1:放送用音声機材では、音声のインピーダンスは600オームなので0dBm=0.77V

*2:ドイツ人とかはVU計を使っていないため、メータはピーク計を見ている。また近年のデジタル機器はVU計がついていない物がかなり多い。