最近ラウドネス関係のお仕事をしています

といっても音楽のほうじゃなくて、放送業界の新たな音量規制の話です。
これのことね。 → http://www.nab.or.jp/loudness/flyer.pdf

ここ最近CMの音量に合わせて録画番組の音量がどんどんあがって行って、見ているだわとしてはなかなかしんどかったのでこれはめでたいことなんですが、制作サイドとしては結構つらい話。

このラウドネスを測定する機械が結構高額で、最低でも10万円くらい。実は今はHDVを素材として、ファイル出力で製品を出せるならHD編集機が50万円で余裕で作れちゃう時代なのでいくら必須とは言え高が音声の測定器に10万円も出すのはあちこちでつらいって声があがっています。

#ソフトウェアだけで5万円くらいのものもあるんですが、デジタル音声入力のできるボードでWindowsで動くものってそれはそれでかなり金額の張るものしかないですし。

実は制作現場のつらさには民放連がやってしまった制度設計のミスがある。
アメリカの制度ではコンテンツ制作会社はテープのテクニカルシートにラウドネス値だけ書いておけば受け取る側で使うときにそれだけ補正して取り込むって運用になっている。

アメリカでは番組やCMの制作会社と放送局の間には流通(そして素材のコピー)のための代理店が存在します。これをうまく使うと制作はラウドネスを気にせずに素材を作り、流通代理店が受け取ったときにラウドネスを測定してテープの添付文書に書けば問題なく搬入素材が作れるわけです

一方 民放連の規程では、局搬入素材に入っている音声素材のラウドネスの値は-24LKFSに対して+1dB(−側は4dB余裕があるが)までしか許容しません。
このため、編集時点でラウドネスのことをかなり意識しないと制作ができなくなってしまっています。このため弱小プロダクションが対応に苦慮する場面が出てくるわけで。

ツウか…来年の4月までにほんとに制作関係対応できるのかな?
私のいる札幌の放送局はそれなりに危機感を盛り上げる人が送出サイドにも制作サイドにもいたから割と速いうちから計測器メーカと接触してたけど、田舎の放送局にCM素材搬入しているプロダクションがどうなるかとかちょっと考えたくない。