電波利用料問題、うそをついているのは誰?

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国民の共有財産である電波を使用する対価である電波利用料が不当に低いのではないかという思いで、総務省に、まず、各テレビ局ごとの電波利用料の負担金額を出して欲しいと要求すると、なんと総務省の課長は、個別の負担金額は開示しておりませんときた。

なんで出さないのかとたずねると、テレビ局のプライバシー。
あのね、個人が儲けた金額に応じて支払う所得税がプライバシーだというならばわかるが、国民の共有財産を使用してお金を儲けているときに、共有財産の使用料がいくらかを出さなくて良いということにはならないだろ、と突っ込むと、これまで国会の答弁でも個別テレビ局ごとの負担額は出したことがありません。

じゃ、仕方がない。政調の審議会で電波法の改正案を了承するときの条件が、各テレビ局ごとの収益金額と電波利用料をだすということだったが、出さないんじゃ、あの決定は白紙だね。お宅の局長が自ら出しますといったものを課長がひっくり返すんだねと脅す。

持ち帰って検討します。どうぞ、検討してください。

総務省、園田政調会長代理のところに駆け込んだ。
河野太郎が、個別のテレビ局の電波利用料を出せ、と言ってききません。
出せばいいじゃないか。

ということで、本邦初公開(?)、テレビ局ごとの電波利用料
営業収益100億円以上のテレビ局、但しNHKは経常事業収入。

この辺の記述問題ありまくり。私は河野太郎さんは嫌いじゃないが、総務省の役人にだまされているんじゃないかと思うんだが。

1. 電波利用料の算出根拠は電波法令集に載ってますし(送信所は1免許4万円くらい)、送信所の数も各放送局のWEBページ見れば載ってる。
だから送信所にかかわる電波使用料は簡単に計算できて、わざわざ隠すほどのことでもない(公知ってことです)
ただし、放送局は送信所以外にもラジオマイクとか、マイクロFPUとか、ヘリの連絡無線とかで電波使用料を払っているから、こっちのほうはあえて公表しないのもわからないでもない。

でもって、河野太郎氏がほしいのは送信所の電波使用料なので、(頼み方が悪かったんだろうけど)取得するに、わざわざ役人脅す必要ないでしょ。
ってか、役人から取らなくてもいい資料を役人からもらおうとするから政治家は役人からなめられるんです。

2. 「事業収益」って普通使わない用語じゃないでしょうか。要は「売り上げ」のことでしょ。
年商100億くらいの小売業なんてざらだし、今総務省がやらなくてもいいHD放送押し付けたせいで、地方の放送局はデジタル化費用の償還でかなりの割合で赤字です、わかりにくい用語を使ってミスリードを図っている気がするんだが。

3. 河野氏が知っているかどうかはわからないが(多分知っていると思うし、知らなかったら政治家の素質はない)総務省は来年度から放送局の電波使用料を大幅に上げることになっている。この点について河野氏のブログはガン無視している。
総務省の案では2011年まで移行措置だということになっているが、現在地方局は大半赤字になっているなか、電波利用料まで取られたら、放送局は東京、大阪には5局残るかもしれませんが、東北東北地方には1局しか残らなくなるかもしれません。
ちなみに、現在放送局の職員の給料はほぼ横ばい、または下がっています。放送局の給料が激烈によかったのは1990年代の話ですよ。

4. それはそれとしても「電波利用料」って税金ではないので、税制審議会を通さずに料率を変えることができる。当然何億って金額は当初の「電波管理業務の効率化のために徴収する事務的費用」ではぜんぜんなくなっている。

もともと電波利用料というのは郵政省電気通信管理局のOA化が予算がつかなかったのを、免許を受けている人から無理やり金を取ってOA化したもの。
その後携帯電話の普及で電波利用料の使い道が足らなくなり(だったらやめるか、減額すればいいのに)無線機のデジタル化に対する研究などにも投入((その過程で放送通信用のRZ-SSBとか、アマチュア用のD-STARとかの箸にも棒にもかからない研究多発))。

その後、放送業界から前々から指摘されていた地上デジタル放送への移行のための周波数指定の変更が、実際にはとんでもない費用がかかることが明らかになり、財務省がそんなものに予算を出してくれるはずもなく、「周波数の利用効率を上げるための業務」といってあまった電波使用料を投入。
→ それに電波使用料を取られるだけとられている通信業界が激怒。 総務省は「放送局にも応分の負担をしてもらう」と放送局に電波使用料の大幅値上げを提示。
→ 将来の赤字が決定した放送局はまだ中継局を作っていない非地デジ世帯を(全人口の10%ぐらい)を切り捨てて費用を浮かすかどうか思案中
→ 総務省内の旧自治省は、現在TVが見られているところがデジタル化後TVが見られなくなるなんて論外と言い張る
→ 総務省FTTHにTV流せばいいじゃん」ということで、電波利用料を使って光回線に共聴流す方法を研究しほぼ実用化するも、やっぱりNTTに事業を断られる。

現状はこんな感じ

過去の郵政省官僚のばかっぷりを見るに、やつらが放送局に介入する手段を強化するは国家の損失だと思うのだが...。
せめて、「税金」にしてくれたら、もう少し長期的な視点でものを考えるようになると思うんだが。