年金問題はどこへ行くものやら

年金の話で常々不思議に思っていたのは、仮に年金のデータが壊れていたとしても、常識的なデータのつくりをしていたら、ステータスに「未納」「納入済み(たぶん金額も)」のどちらかが埋まっているはずであり、チェックかけたら発見されそうなものだが…。
と思っていたのだが、どうやら問題は超本質的なところにあるようで。

私は始めて年金に加入したときにぎりぎり年金は基礎年金番号で運用されていたので気がついていなかったのだが、昔の年金は厚生年金と国民年金はつながっていなかったし、引っ越した場合も正しく処理をしないと(年金の管理は保険事務所ごとだったわけですし)こちらでやめた人と、あちらで加入した人との関連付けを行うことができなくなる。

そうなってしまうと後は生年月日、氏名、性別、住所を頼りにマッチングさせるしかなくなってしまうことになる。さらに、そうなってるということは役所側では滞納があるかどうかはわからない(自分の管轄じゃないところで払っている可能性もあるし。)

で、紙の戸籍や住民票は文字の表現に統一性がなく、PC上に乗らないけったいな文字*1が大量に存在している。*2 *3
つまり漢字の氏名は表示の一意性があまりないのでインデックスにはあまり適さない。*4

じゃあ住所はどうかというと、これは表現のゆれが大きすぎてお話にならないし、ひとつの地番にべらぼうに人間が住んでいることになっているところもあったりして*5、かなり微妙。おまけに学生時代の私のようにものすごく頻繁に引っ越す人だと、住所で追跡することも不可能。

介護保険のシステムを作った人の書いたものをみると、「名前の読み」をインデックスにしていたらしいですが、紙書類には「読み仮名」が入っていないので、本人に確認せずに勝手に割り振ったというお粗末…。


まあ、今回はやってしまった役所がもともとアレなので自業自得感もありますが、個人の特定が不可能って言う意味では税金なんかでも個人を特定するためにかなり不毛な作業をしているはず。

まあ過去のことはどうにかするしかないですが、将来のことを言えば、きちんと取立てをやって、その上で時効が成立したものについて、本人に知らせつつデータベースに未納フラグ立てていけばいい話。
さてそういう仕組みになるんでしょうか?

*1:単なる誤記、誤字から人名にしか使われない異体字まで

*2:私も結婚したときに初めて自分の戸籍が「表外字」になっていることを知りました。誤字だったので職権で訂正してもらいましたけど。

*3:現在戸籍や住民票の電子化の作業で戸籍や住民票の変な文字はだいぶ減ったはず。ただし、役所の通達では人名に使用できる文字を厳密には特定してはいないようです。小形克宏の「文字の海、ビットの舟」参照。戸籍や住民票の変な文字が訂正されても、それは年金のデータには反映されないので文字の整合性の問題は解消されているわけではない。

*4:ここなんか読んでいると頭くらくらするような外字運用の話が載ってます。

*5:区画事業がなされていないところでひとつの地番が異常にでかいところもあるし、西成や千代田1-1のように特定の場所に便宜上多数の住民が住んでいることになっている場合もあり。