RZ-SSBは狭帯域デジタルなんだって。

何でも、総務省の電波やサンたちは、放送局が電波を使いすぎだという批判があるのと、VHF帯の周波数リパッキングを行うため、放送局に「今後連絡無線は狭帯域デジタルであること」なる免許方針を示している模様です。

ところが、

  • 放送局では、連絡線に遅延が出ると困るし、必ずしも人間の声ばっかりが流れているわけではないので、Aubeエンコーダーが使えない。
  • 放送局では基地局−携帯局の通話形態だけではなく、携帯局−携帯局などの通話形態も多いので、TDMAを行うことができない。
  • 放送局の連絡波波は連続していない(159メガから163メガくらいまであるはず.142〜144メガ帯から162〜169メガ帯までばらばらと割り当てがある。その中には国際VHFとかも挟まっている)そのため連続した周波数上にデータをばら撒くCDMAは使えない


などの理由で、デジタル化してもあんまり意味がないというのが実際のところです。

ここで総務省はなぜかRZ-SSBというのをひっぱりだしてきました。

アマチュア無線をやっていた人だと、1997年にほんの一瞬だけ現れて、その後話を聞かないなあと言う記憶のあるかと思います。

RZ-SSBの詳しい解説はネットを探せばいくらかあるので見てくださいといおうと思ったら、インターネット上にはほとんど情報がありません  ^^;)

くらいだな。

簡単に解説すると、RZ-SSBというのは電波的にはH3E(古いアマチュアの表記だとA3H)で表現されるSSBにキャリアを後付した変調方式です。 SSB+キャリアなので周波数帯幅は3KHzとちょっと、周囲の周波数との整合性を考えれば5KHzステップになるものと思われます。*1
これだと昔からある変調方式なのですが、RZ-SSBはこれを同期検波して、位相変調成分を取り出すところに味噌があります。

なお、A3Hの位相変調成分を素直に取り出しても、まともな音にはなりません(ひずみます)。ですから等化回路をつけてやります。

電波に詳しい人ならわかると思いますが、「ぜんぜんデジタル変調なんかじゃないし、デジタルの利点なんか使っていません」 これがデジタルだと言い張れる根拠はただ単に復調器の特性から、出力の歪を除去する回路が必要で、それはDSPで構成されるってことだけです。


うーん。 そこまでデジタルにこだわる必要があったのか疑問です。A3Hで送信するくらいなら、地上波テレビのようにキャリア周波数前後でフィルタで切ってやって、VSBにしてやれば、ほとんどデジタル回路なしに帯域を5KHzくらいまで追い込めます。
RZSSBはフェージングに強いことを売りにしてますが、SSBと違ってAMにはキャリアがあるので、(変調が浅ければ)AGCの時定数を小さくでき、フェージングにもそこそこ強いはずです。

VHFでのAMの運用については航空無線という前例があるため、ちゃんとAMのハンディトランシーバーまで存在しています。航空無線がフェージングが出て困るって話は聞いたことないけどねえ。

それから、2011年にアナログテレビをやめた後のVHFの周波数使用法については未定です。
*2~

なので、ここまで引っ張れば周波数に空きがでるため、わざわざRZSSBなんて際物使わなくとも、リパッキングもCDMAもやり放題でしょう。

まったくもって、迷惑千万だ総務省

*1:NHKの解説だと、音声が3.4KHz帯域で占有周波数帯幅が6.25とかになってるけど、それなら、AMと比べて周波数利用効率の利点はないことになる。

*2:UHFの52ないしは54チャンネル以上の周波数は、1GHz前後の周波数をリパッキングするために使用されるそうです。 ここも細切れになった周波数がいっぱいあるし、MCAのようにほとんど終わってしまっているサービスの周波数も残っているので、リパッキングして周波数利用の効率化、および韓国からの混信を軽減することを目指すそうです。